「ハマる」って依存症なの?

2023年6月19日(月)

 ハルです。

 

 夏、到来です。今年もシュノーケリングで魚たちを見ようと思います。

 みなさんはハマっているものがありますか?K-POPやアニメ、スイーツ・・・いろいろあることでしょう。ここまでなら健全な趣味です。ところが、これがアルコールとなると「依存症」と指を差されます。「ハマる」と「依存症」は違うのでしょうか。あまり違わないとしたら「ハマる」も危険なのではないでしょうか

 

 

 人の行動は無意識の「習慣」から成り立っています。行動の選択を逐一意識していたら脳がパンクします。習慣化のおかげで、パソコンのパスワード入力も指が勝手に動いてくれます。

 こうした時に仕事をするのがドーパミンです。ドーパミンが神経伝達をコントロールすることで、習慣を形成します。また、ドーパミンは「快」を作り出すとされています。実際は「欲しい」という気持ちに作用し、「ハマる」につながります。

 現代は「ハマる」ものが氾濫しています。加工食品に含まれる人工調味料や食感向上剤は脳に「快」をもたらし、人々の食事量を増やします。スマホに新しいニュースやチャットが絶えず飛び込んでくることによってドーパミン中枢が活性化され、これに適応した習慣が作られます。「スマホ依存症」の成立です。

 

 もちろん、これらは薬物の怖さの比ではありません。ドーパミン放出量が多いほど依存性は高まります。ラットの実験では、チョコレートのドーパミン放出量は55%増のところ、ニコチンだと150%、コカインでは225%にもなります。(ラッセル・A・ポルドラック「習慣と脳の科学」みすず書房

 そして、依存症が広がる背景には社会的な「傷」があります。18世紀イギリスの「狂気のジン時代」はワーキング・プアの苦しみから生まれました。アメリカの南北戦争では、モルヒネが救世主となりました。(カール・エリック・フィッシャー「依存症と人類」みすず書房

 

 人の脳における「快」を処理するシステムは進化の過程で残りました。それは、何もかもが不足していた時代にはうってつけでした。しかし、今は違います。物質的な豊かさはドーパミンを過剰に分泌させ、常に「何かが足りない」状況を生み出しています

 豊かな国ほど、人は不安を感じ、ほんのわずかな「不快」に耐えられなくなっています。誰もが自分の気持ちを逸らし、楽しませてくれるものを探し求めています。これが、現代の「ハマる」の正体です。(アンナ・レンブケ「ドーパミン中毒」新潮新書

 

 一人ひとりが「行動変容力」を持つ必要があります。簡単ではありませんが、有効な手法として、住む場所を変えることが挙げられます。

 社会全体による受け止めも必要です。世の中のトレンドを監視し、一過性のブームと片づけるのではなく、そこに潜む社会病理に目を向け、適切な処方せんを考えることが大事です。