「ショック・ドクトリン」に要注意。知らぬ間に寿命が縮む?

2023年8月14日(月)

 フィナよ~。

 

 6月16日、財源確保法が成立したわ。5年間の防衛費を43兆円にするため、あと15兆円ほど足りないの。どうするかというと、特別会計や決算の余り、国有財産の売却、歳出改革等でかき集めるみたい。

 防衛力の強化は賛成だけど、その背後で変な動きがないかどうか目を凝らしておくことが大事よ。今回の話でいうと、軍事企業が潤うなら問題ね。こうした企業は、世界で紛争があれば介入し、ビジネスにつなげていこうとする。それは、次の紛争につながる。

 

 危機(ショック)が発生し、国民がパニックになっている間に一気に政策を推し進めて民間企業を潤す手法は、「ショック・ドクトリン」と呼ばれているわ

 例としては、1970年代に南米諸国で政権交代が起こり、国営企業が民営化され、多くの人が職を失ったこと、イラク戦争後に法人税が引き下げられ、外国投資家にやさしい環境が整えられる反面、イラク人に就業機会が与えられなかったこと、2004年のスマトラ沖地震スリランカの海岸線が大津波に襲われた後、海岸沿いの観光開発が進められ、漁師たちが追いやられたことなどが挙げられるわ。

 共通するのは、背後に政府を操る経済学者や大企業がいたこと。多くの人々が貧困に陥り、平均寿命が短くなる事態が発生したの。(ナオミ・クラインショック・ドクトリン岩波書店

 

 

 もちろん、日本はここまでシビアじゃないわ。最近の例だと、新型コロナが拡大した際に地方に配られた地方創生臨時交付金ね。自治体がこじつけて公用車や遊具を購入したり、イカのモニュメントを設置したりと、使い方が問題になったわ。感染拡大で傷んだ経済を復活させたい気持ちは分かるけれど、命に関わる医療サービスにもっと振り向けられたんじゃない?そしてこの予算は予備費」という、国会の事前審議なしに政府の裁量で使用できるの。歯止めが効かなくなるわ。(日本経済新聞社「国費解剖」日経プレミアシリーズ)

 

 ショック・ドクトリンに対抗するには、①他国や過去のケースと比較してパターンを読むこと、②お金の流れをつかむこと、③同時進行の似たようなプロジェクトがないか確認することよ。2025年大阪万博では、セキュリティのため監視システムが大いに導入されるでしょうね。大阪メトロで顔認証改札機の実証実験が進められている。北京五輪もそんな感じだったわ。個人情報を元にしたビジネスが横行するわ。だんだん、富がむしりとられていって、日本人の平均寿命も短くなるのかしら。(堤未果堤未果ショック・ドクトリン幻冬舎新書

 大切なのは、グローバル経済が好調なその一方で社会の「不安定度」が増していないかチェックすること。きっと、声を挙げられない犠牲者がいるはず。そして、予算の使い道は分かりやすい形で「見える化」することね。こうした手立てによってこそ、財源確保を達成すべきよ。