そうだ、動物園・水族館に行こう!

2023年10月2日(月)

 エンヴィです。

 

 動物園・水族館がピンチです!2021年3月に三重県の「志摩マリンランド」、9月に神奈川県の「京急油壷マリンパーク」、2023年3月に千葉市の「子ども動物園」が閉園・閉館しました。これから少子化が進んで、経営はさらに厳しくなります。みんなで動物園・水族館を応援しましょう。

 

 日本の動物園は、上野動物園が最初です。ウィーン万博に出品していた動物を持ち帰り、1882年(明治15年)に開設しました。同年、その付属施設として開設された「観魚室(うをのぞき)」が水族館のルーツです。

 日本は有数の動物園・水族館大国です。動物園は約150園、水族館は約120館あるとされています。逆に、この数の多さが課題です。多くは民営です。しっかりしたコンセプトでもって設立されたというより、遊園地のようにレジャーとして乱立しました。

 問題は相手が生き物だということです。閉演・閉館ともなれば動物たちの行き場を探さなくてはなりません。環境がちょっと変わっただけで死ぬこともあります。これからの運営には、慎重な戦略が求められます

(田井基文「世界をめぐる動物園・水族館コンサルタントの想定外な日々」)

 

 これからの動物園・水族館は研究と保護を基本とすべきです。レジャーや教育も大切でしょうが、レジャーについては、近年、動物福祉の観点から厳しい批判があります。特に日本の動物園・水族館は展示を詰め込みすぎていて、自然な環境からは程遠くなっています。

 また、動物たちと触れ合いながら好奇心を育てることは大事ですが、「教育」とは名ばかりで、海外の珍獣や見た目の派手さで子どもたちの気を引こうとし過ぎるきらいがあります。身近な生物との関わりを前面に押し出すこと、海外で絶滅の危機にある動物について自然破壊、資源採掘、貧困や紛争といった問題と合わせた展示とすること等によって、「共生」について考察できる人格の涵養を目指すべきです。

 

 そして、動物園・水族館の研究・保護の機能をもっと高めていく必要があります。リアルな飼育を通して、生態系の維持や個体の保全に貢献できるからです。

 文化継承への貢献も期待されます。在来家畜には人との長い関わりがあります。各地で高齢化が進む中、農具の製作や使用の技術、地域の風習などについて、博物館や飼育農家との連携が必要です。(朝岡幸彦「動物園と水族館の教育」学文社

 

 以上の取組を進めるには人材の育成が欠かせません。動物園・水族館の職場はいわゆる「3K」です。若い人の多くは期限付き契約社員です。動物たちに毎日接し、知識やノウハウを蓄積していく体制が必要です。動物園・植物園の集約化を図りながら、国全体で公的な運営を考えていく時期に来たと言えるでしょう。

 僕たちもどんどん足を運びましょう。まずは、リアルを見ることが大切です。