待ったなしの「木材の安全保障」。成るか国内拠点化?

2023年11月27日(月)

 フーディンだよ。

 

 物価高騰が続くと落ち着かないよね~。ところが、木材の価格は下降気味って知ってた?農林水産省によると、スギの丸太は前年比で2割減。1本14,000円だから体積で比較すると、なんとダイコンより安いんだって。これだと商売として成り立たないんじゃないの?

 

 

 だからといって、逆に価格が高騰しても困るんだけどね~。あまり知られていないと思うけど、2021年に「ウッドショック」と呼ばれる建築資材の高騰が起きたんだ。この時は、最初に首都圏の住宅産業界がパニックになって、それが全国に波及したんだ。

 原因は北米材の日本への輸入量が減ったこと。新型コロナによる製材工場の生産能力の低下、相次ぐ森林火災、巣ごもりによる住宅新設の増加といった諸事情が重なって引き起こしたんだって。

 

 ここで気付いて欲しいことが2つあるよ。

 一つは、日本で使われる建築資材のうち、結構な割合で「外材」が使われているってこと。その割合は6割。梁(はり)に使われる高級木材は外材なんだ。

 もう一つは、木材は国際商品だってこと。今や世界で木材の製造業に関わる人口は20億人にのぼる。関係者が多いんだ。そして、価格は各国の金融政策や住宅市場によって振り回される。もちろん、紛争や災害にも影響されるんだな~。

 だから、食料安全保障みたいに、「木材の安全保障」を考えなくちゃならないんだよ。これからは円安も進むだろうから、いつまでも外材の輸入に頼っていちゃだめだ。安定供給を目指すのであれば、生産拠点を国内に戻して「木材の自給率」を高めることを真剣に検討すべきなんだな~。(遠藤日雄「『第3次ウッドショック』は何をもたらしたのか」全国林業改良普及協会)

 

 冷静に考えれば、日本は木材の宝庫だよ。森林の備蓄量は52億4100万㎥。森林率はOECD加盟国の中で第3位。立派な森林大国なんだ。しかも、このうち人工林は6割を占めているわけだから、林業を「もうけ」の出る業態にさえすれば、メイド・イン・ジャパンの木材を十分供給できるはずだよ。

 解決の鍵は、サプライチェーンマネジメントの構築とDXの融合なんだな~。森林の所有者を巻き込んで、林業と建設・住宅産業を結合させるとともに、デジタル技術によって工程ごとの価格を「見える化」する。そうすれば、中間コストを減らすこともできるし、より市場ニーズに寄り添ったビジネスモデルを構築することができるよ。

 あと、投資活動も呼び込もうね。米国では効率化を追求した「投資型」の森林経営が行われている。この流れは南米やオセアニアにも広がりつつある。日本の林業には多額の税金が投入されているんだ。ぜひ、広く国民に「森林業」に関心を持ってもらい、投資に参加してもらうんだな~。(塩地博文ら「森林列島再生論」日経BP

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