医療機関の経営がピンチ!健康を守るのはあなたの仕事?

2023年12月25日(月)

 ハルです。

 

 今日はクリスマスです。西洋文化ではありますが、日本でも当たり前の行事となっています。その西洋文化を取り入れていった明治時代、鹿鳴館や岩崎邸等の設計で活躍したイギリス建築家ジョサイア・コンドルは、「建築は医師のようなものである」という言葉を残しました。しっかりした土台があってこそ健康でいられるという趣旨のようです。

 「土台」として医療機関があります。病院や診療所です。でも、今後、人口減少が進むと、医療機関の運営は厳しくなります医療機関は存続できるのでしょうか。

 

 

 患者の多くは高齢者です。外来だと半分、入院だと3/4です。高齢者人口がピークになるのは2040年頃で、その頃までは医療需要は増え続けます。一方、医師1人当たりの患者数はすでに減少しています。医師数が増加していることも理由の一つです。

 そうなると医療機関の運営も怪しくなってきます。医療費は増加トレンドにあり、2021年度は45兆円に達しました。このままでは国の財政が持ちません。医療費削減の圧力が強まります。医師の養成数も減るでしょう。かつては医師不足が叫ばれ、医学部定員数を7,625人から9,384人にまで増やしましたが、もう限界です。

 

 病院については、医業利益が赤字となっている施設が増加しています。建築資材は高騰しています。新型コロナでは補助金等による一服感がありましたが、これからコロナ緊急融資の返済が始まります。病院の経営統合が増えるでしょう。200~299床の病院は採算性が高いですが、小規模病院は経営が厳しくなっています。経営統合により、身近にあった病院が遠のく可能性があります。(小松大介ら「病院経営の教科書」日本医事新報社)

 診療所も厳しいです。2020年には開設・再開合わせて8,700件の診療所が開業しましたが、廃止・休止も匹敵するくらい存在します。過去20年間、毎年約600件のペースで増え続けてきた診療所数は横ばいとなりつつあります。

 こうした中、国が求める「かかりつけ医機能」には夜間・休日対応や在宅医療が期待されています。でも、開業医の平均年齢は約60歳です。こうしたニーズに応え切るのは至難の業です。しかも、新薬開発や医療技術の進歩により、受療率は低下する傾向にあります。身近にあった診療所が遠のく可能性があります。(小松大介ら「診療所経営の教科書」日本医事新報社)

 

 病院も診療所も、統合や連携、グループ化が進むでしょう。そうなると、今までと同じようなアクセスは期待できなくなります。オンライン診療の推進が望まれます。でも、オンライン特有のもどかしさは残ります。

 これからは自分自身で健康を維持する努力がより一層求められていくことになります。結局は、バランスのとれた栄養摂取、適度な運動、睡眠こそが、健康の「土台」となるのです。