ノーベル賞経済学者たちのアドバイス、「全員参加」でシニア経済を回せ!

2024年1月1日(月)

 コノミです。

 

 明けましておめでとうございます。今年はどんな年になるでしょう。昨年は物価高が話題になりました。政府は補正予算や来年度予算案で対応するようですが、さらに先を見据え、著名な経済学者たちの助言をヒントに本格的な経済対策を考えませんか。

 

 ノーベル経済学賞を受賞したアビジット・バナジーによると、日本のように既に豊かな国が再び経済成長する処方箋は無いそうです。「成長戦略」が成功するというエビデンスは無いのです。しかも、私たちには「投影バイアス」があります。何とかなっている今の状態がずっと続くように感じます。驚いたことに、岸田首相は所得税減税を発表しました。「何とかなるだろう」という淡い期待があるのです。

 増税は経済成長の足かせと思いがちですが、これまでのデータからは税率と成長の間に因果関係は見出せていません。安易な減税は自重するよう、経済学者は声を大にして指摘すべきです。そして、これ以上格差を広げないよう、富裕層への税率引き上げに踏み切るべきです。

 

 より大局的に日本の立ち位置を捉えてみます。米マサチューセッツ工科大学ダロン・アセモグル教授によると、国家の発展段階では特定集団のための中央集権的で収奪な制度ができますが、そこから創造的破壊を起こすには、「全員参加」のスタイルに変えていかなくてはならないそうです

 日本の場合、自動車など「特定」の産業の成功体験に引きずられています。これでは何も変わらず、ジリ貧の中で富の奪い合いがなされるだけです。政治制度を動かすには、文化の構成を変える必要があります。手っ取り早いのは、多様な構成を強制的に実現させることです。例えば、国会議員の一部を「くじ引き」で選ぶ、就業者の一定割合を外国人とする、役員の半数を女性にする等です。これらを実践すると革命を起こすのと同じ効果が期待できます。

 

 日本は世界最先端のシニア社会であることを自覚することも重要です。ノーベル経済学者のジョセフ・E・スティグリッツは、物質的な成長を続ける必要はなく、住みやすい都市づくりを推奨しています。(広野彩子「世界最高峰の経済学教室」日本経済新聞出版)

 人口の約3割のシニア層を顧客と捉えると、市場規模は1200兆円にもなります。また、日本人は平均3000万円以上のキャッシュを残して亡くなります。これを活かさない手はありません(大前研一「『老後不安』を乗り越えるシニアエコノミー」小学館新書)。

 戦略としては「儲け」一辺倒ではなく、消費マインドのハードルを下げながら、シニア層の満足度を高めることを考えます。例えば、これからは「おひとりさま」が増えます。他人との交流を増やしつつ、趣味、イベント、健康活動をサポートするマッチング・サービスが有効です。

 著名経済学者の言葉を胸に、2024年を日本再活性化の年にしましょう!