ボードゲームは世界を救う!

2024年2月12日(月)

 ソシエッタです。

 

 ボードゲームの国内最大イベント「ゲームマーケット2023秋」は、12月9日、10日の2日間で合計25000人の来場者があったようです。新型コロナ前ほどには戻っていませんが、これから増え続けることは間違いないでしょう。一方のオンラインゲームの参加者は5500万人超と圧倒的ですが、ボードゲームの魅力を覗いてみませんか。

 

 ボードゲームの最大の魅力は、プレイヤー同士のコミュニケーションです。最近は1人でも遊べるものも増えていますが、基本は家族や友人たちと同じ時間・空間を楽しむものです。

 オンラインゲームでもプレイヤー同士のコミュニケーションは存在します。でも、基本的にプログラムの範囲でしか動けないので、個人の上手い下手が如実に表れ、プレイヤーに「カースト」が生まれやすくなります。eスポーツのプロは羨望の的です。

 この点、ボードゲームに能力は不要です。むしろ、能力はバラバラでいいですし、メンバーも自由に設定して構いません。もちろん、ゲームによって駆け引きのうまさなどコツが必要なものもありますが、さほど重要ではありません。同じ時間・空間を参加したプレイヤー全員が楽しむという目的さえ達すればよいのです。フラットな世界なのです。

 

 ゲームのルール自体にも工夫があります。手番が早いと有利になることが多いですが、『ナショナルエコノミー』というゲームは、手番が遅い人ほど最初の所持金を高くしておく「補償ルール」を設けています。このため、手番によって戦略が変わってきます。また、『モノポリー』では、一番勝利に近づいている人を勝たせまいと、その他のプレイヤーが結託して資産を融通し合う「弱者連合」を組むこともできます。もちろん単純にはいきません。そこに「遊び」が生まれ、予想外の展開が生じ、時にみんなで大笑いしてしまう場面が生じるのです。

 

 こうした、誰もが気軽に参加でき、みんなが楽しめるスタイルは、「ゲームの民主主義」と言えます。現代社会では経済格差が広がりつつあります。選択の自由があるとは言え、自己責任論とセットであり、閉塞感を生んでいます。「親ガチャ」など、努力や才覚ではどうにもならない運・不運があることを皆が了解することが必要です。ボードゲームはそんな世界観を感じさせてくれます。(與那覇潤/小野卓也「ボードゲームで社会が変わる」河出新書

 

 そこまで大袈裟なことを考えなくてもよいですが、子どもの頃、家族や友達とボードゲームを遊んだ時、そこには間違いなくフラットな空間が存在したはずです。政治家も大富豪も、そうでない人たちと一緒にボードゲームに興じる・・・そんな場面があってもよいのではないでしょうか。

「本当に面白いボードゲームの世界Vol.02」太田出版